えびはら
#なんでも
数年前、「弁当箱に入っていた箸入れがない」と母親が言ったことからの話。 「食べた後の弁当は毎日出してるし、箸だけなくなるなんてことはない」と言っても、 「いいや!あんたがどっかに忘れていったんでしょう!」と母親はさも当然のように返しました。 明らかにそちらの確認不足であることを何度訴えても聞く耳を持たないどころか、 逆上した母親は流し台で濡らした手を私の顔の前でピッと振り、私に目つぶしを仕掛けてきました。 頭にきた私は母親の腕を掴み、壁際へドンと追いやりました。 「こいつと同じになるわけにはいかない」と思った私はそこで手を放しましたが…… 「お父さーん!!お父さんちょっと来てー!!」 あろうことか、母親は被害者ヅラで大声を出して父親を呼んだのです。 自分の主人を、困ったときの暴力装置として使ったその事実に冷めてしまい、 私はそれ以上対話することをあきらめました。 結局箸入れは見つかったようで、食器棚にしれっと入っていましたが、 私はそれを見るたびに、この記憶を鮮明に思い出します。 あなたはきっと、覚えていないのでしょうね。
