詩
#なんでも
祖母が、私に商品券をくれた。 「これで好きなものを買いなさい。受験期なんだから、ご褒美って事ね」 って言ってくれた。だから、前々から欲しかったワイヤレスイヤホンを買おうと思った。今までずっと百均のを使ってたから。一万円はするけれど、機能を鑑みると低コスパのものだ。 母が言った。「商品券だろうと、こんな高いものは買えない。社会人になって、自分で働いて得た給料で買え」と。 祖母は、”私に”商品券をくれた。郵送で、宛名もちゃんと私のもの。宛先は”母”ではなく、「好きなものを買いなさい」と言った時の主語も私。 私の商品券なのに、なんで私の好きなものを買ってはいけないのか。「買えない」と言ったのだって、「You can't buy it.」ではなく、「You must not buy it.」の意味なのだろう。 祖母が私にくれた商品券なのに。あの女は、自分の欲しいものを買おうとしてる。 祖母が、”私に”、くれた商品券なのに。
